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 4月23日に予定されている積水ハウスの株主総会が、新型コロナの影響で揺れている。

 この株主総会は、同社前会長の和田勇氏や現職の取締役の勝呂文康氏から、現経営陣の一掃を目指した株主提案がなされているが、緊急事態宣言下での総会の実施の是非をめぐって、会社側と株主側で、論争が起きているのだ。

 会社側が会場を縮小して、株主参加を制限した株主総会を断行しようとする一方で、株主提案側は「延期」を求めて大阪地裁に「仮処分」を訴えている。

コロナ禍で予定していた会場は使用不可でも、会場を変更して予定通り開催の意向

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、東京、大阪など全国7都市に「緊急事態宣言」が下されたのは7日のこと。積水ハウスは大阪市内のホテルで株主総会を開く予定だったが、その後も何ら対策が打たれることなく、動きがあったのは緊急事態宣言から1週間余りが過ぎた15日のことだった。

 積水ハウスはこんなリリースを出した。

<4月23日開催予定の当社第69回定時株主総会の開催場所として「ウェスティンホテル大阪ローズルーム」を予定していましたが、今般、当該ホテルより、同場所の提供が困難であるとの通知を受けました>

 突然の会場の変更は混乱を招く恐れがある。ましてや緊急事態宣言下の大阪での開催。8割の接触減を求める政府の方針を考えれば、多くの株主が集う株主総会は「延期」が視野に入るところだが、積水ハウスは株主総会の断行する意向を示した。

<株主の皆様への期末配当金の支払(剰余金の処分)や取締役・監査役の任期満了に伴う選任等は法令に基づき本株主総会での決議が必要であり、本株主総会を延期した場合、株主の皆様及び当社の経営に重大な影響が生じるおそれがありますので、できる限りの感染防止策を実施させていただくことを前提として、開催場所・開始時刻を変更し、本株主総会を開催させていただく所存です>(積水ハウスのプレスリリースより)

 こう説明する積水ハウス側だが、この15日には金融庁や経団連などでつくる官民協議会から一つの声明が発表されたばかり。声明には株主総会について、延期も含めた柔軟な運用を求める指針が示されていた。