8割以上の企業が「一か月以上」の採用スケジュール遅延を予測
最も多くの企業が懸念しているのが「採用スケジュールが遅延」であるが、遅延を懸念する企業は、具体的にどの程度の遅延となることを予想しているのだろうか。
最も多い遅延期間は「1か月程度」で36%、次いで「1か月半程度」が20%、「2か月程度」が18%などで、「2か月半程度」「3か月以上」も加え、「1か月以上の遅延」(以下同じ)を予想する割合が81%となっている(図表4-1)。
企業規模別に「1か月以上の遅延」を予想する割合を見ると、大企業では88%、中堅企業で84%、中小企業で73%となっており、企業規模が大きいほど割合が高い傾向があるものの、いずれの企業規模でも7割以上となっている(図表4-2)。
【図表4-1】採用スケジュールの遅延予測
【図表4-2】企業規模別 採用スケジュールの遅延予測
対策をとる企業は7割以上、中小企業では5割にとどまる
採用スケジュールの1か月以上の遅延を予想する企業が7~8割となるなど、採用活動を滞りなく進行することができなくなることが懸念される中、これらの影響を考慮した対策をとっている企業の割合を見てみる。
「対策をとっている」とする企業の割合は42%で、「対策を検討中」が28%、「これから対策を検討」が18%、「対策をとる予定はない」が13%となっており、「対策実施中、検討中」(「対策をとっている」と「対策を検討中」の合計、以下同じ)は70%を占めている(図表5-1)。
「対策実施中、検討中」の割合を企業規模別に見ると、大企業で80%、中堅企業で78%、中小企業で60%となっており、企業規模が大きいほど対策をとっていることが分かる。一方で、「対策をとる予定はない」とする割合は企業規模が小さいほど高く、中小企業では16%と2割近い企業が対策をとらないこととしている(図表5-2)。中小企業は、採用規模が小さく、採用活動への影響は対策をとるほどのものではないと認識している企業の割合が比較的高いのだろう。
【図表5-1】採用活動への影響を考慮した対策の有無
【図表5-2】企業規模別 採用活動への影響を考慮した対策
大企業での対策の内容は「採用スケジュールの後ろ倒し」が7割、オンライン対応も
対策を実施、検討している企業では、「会場入口に除菌スプレーの設置」が最多で51%、次いで「マスク着用の推奨」が50%、「採用スケジュールの後ろ倒し」が47%などとなっている(図表6-1)。
企業規模別に見ると、大企業では「採用スケジュールの後ろ倒し」が68%、次いで「来場を伴わない説明会(オンライン活用等)」が54%と過半数に及び、「マスク着用の推奨」が49%などとなっている。中堅企業では「会場入口に除菌スプレーの設置」が最多で69%、「マスク着用の推奨」が63%、「会場の衛生管理の徹底」が50%などとなっており、上位3項目は半数以上の企業が実施している(実施を検討している)ことが分かる。一方、中小企業では、いずれの項目についても実施している企業の割合は半数未満であり、その中で最も多いのは「マスク着用の推奨」(42%)と「会場入口に除菌スプレーの設置」(42%)となっており、感染拡大の予防策を講じながら予定通りの採用活動を実施する方針であることがうかがえる。また、中堅・中小企業では、「今後の経営状況を注視しながら採用人数を調整する」とする企業がいずれも2割近くに達している。採用人数の削減は、最悪の場合には採用中止までを視野に入れているものと推測される。2020年卒採用では、3月になっての内定切りが大きな社会問題になっている。内々定出しを開始する前に、採用中止の決断をすべきであり、採用中止の懸念がある場合には、採用活動スケジュールを遅らせることを考える必要がある(図表6-2)。
【図表6-1】採用活動への影響を考慮した対策の種類
【図表6-2】企業規模別 採用活動への影響を考慮した対策の種類
【図表6-3】採用活動への影響を考慮した具体的な対策(一部抜粋)
採用活動の対策の具体的内容 | 従業員規模 | 業種 |
---|---|---|
学生向けにオンラインでの会社説明会、社員紹介等を新たに実施 | 1,001名以上 | メーカー |
各予定の期限無き延期 | 1,001名以上 | メーカー |
説明会、面接の完全オンライン化 | 1,001名以上 | マスコミ・コンサル |
直接・間接の業績影響予測し、最良・最悪シナリオを設定して採用人数調整するなど | 1,001名以上 | サービス |
社外イベントは全て中止 | 301~1,000名 | 運輸・不動産・エネルギー |
会社説明、インタビューのオンライン化 | 1~300名 | メーカー |
マスクと手指消毒スプレーの設置。説明会、選考は少人数制 | 1~300名 | 情報・通信 |
一日の説明会参加人数を減らす | 1~300名 | 情報・通信 |
面談から内定、意思決定まで一切お会いせず実施 | 1~300名 | マスコミ・コンサル |
説明会のWeb動画作成、オンラインによる説明会、面接の実施 | 1~300名 | サービス |
調査概要
アンケート名称:「新型コロナウィルス感染拡大による新卒採用や新入社員受け入れへの影響」に関するアンケート調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2020年3月27日~3月31日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者、採用担当者、人事全般担当者
有効回答:227件
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