中国・上海。市民は約2カ月半にわたって“半軟禁生活”を強いられた

(山田 珠世:上海在住コラムニスト)

 中国政府は4月8日、1月23日から約2カ月半にわたり続いていた湖北省武漢市の封鎖(ロックダウン)措置を解除した。同日は、多くの人がSNSアプリの「微信(WeChat)」に「祝武漢封鎖解除」「武漢復活」「明けない夜はない」などと書き込んで、武漢の開放を祝った。

 筆者が住む上海でも、3月中旬から外出制限が徐々に緩やかになり、街ゆく人々の往来だけを見ると、新型コロナウイルス発生前に戻ったかのようだった。ただ、人々の心には、徐々に普段の生活が戻ってくる喜びと、まだほど遠い完全な“終息”までの道のりを憂慮する気持ちが交錯しているのが実のところだ。

「都市封鎖」をどう定義するかは国によって異なるだろうが、武漢市で実施された都市封鎖は、公共交通機関をすべて運行停止し、空港、鉄道駅を閉鎖することで、他都市との接触を一切断ち切ってしまうという、かなり徹底的で強烈なものだった。

 中国では武漢市およびその周辺都市で厳格な都市封鎖措置が採られたが、日本政府が4月7日に発令した緊急事態宣言と同程度の措置は、中国のほとんどの都市で実施されていたと言ってよい。中国に住む人たちの多くが、約2カ月半にわたり“半軟禁生活”を余儀なくされていたのだ。

散歩もアパートの敷地だけ

 まずは、上海市が実施した一連の措置を振り返ってみたい。