2月下旬、スペイン南部の中心都市セビリア(人口はスペインで4番目に多く約690万人)に降り立ったときには、日本での騒ぎと違い、のんびりしたものだった。
人気バルに人だかりができ、べシートと呼ばれる両ほほキスで挨拶し、唾がそのまま飛んできそうな近い距離で会話を楽しむ。
ちなみに、日本ではレストランや居酒屋などでは必ずおしぼりが提供されるが、欧米諸国ではそのような習慣はない。
そしてセビリアで見た限りでは、食事前に手を洗おうとするような習慣もない。
世界的に新型コロナウイルス騒ぎが大きくなっても、特に自分たちの習慣に気を遣っている様子はなかった。
かなり呑気に構えていたセビリア
2月にはすでにイタリアでは新型コロナウイルス感染症が急速に広まり、感染者数、死亡者数ともに凄惨な状況になっていたが、セビリアでは「どこか他人事」のように捉えている節があった。
日本出国前はいろいろな人から「ヨーロッパはコロナによる人種差別がひどいのでは?」と心配されたが、アジア人差別も特に表立って受けたことはなかった。
3月第1週くらいまでは、コロナの話題をちらほらと耳にしつつも、セマナ・サンタ(キリスト復活祭)やフェリア・デ・アブリルと呼ばれる春祭りも決行する雰囲気が漂っていた。
セマナ・サンタでは大きな山車を担いで街を歩くため、数日前まで大人数で練習をしている光景もよく目にしていた。
しかし、3月の2週目に入ると事態は一転した。