ディップ株式会社は2019年12月、「社会人2000人に聞いた1on1の導入実態調査」の結果を発表した。調査対象は全国の企業に勤める22~65歳の男女2000人で、2019年11月にインターネット上で実施された。この結果から、企業における「1on1」の認知度や導入後の実施率が低いままに留まっている現状と、上司に褒められたいと思う従業員たちの実態が明らかになった。

「1on1」を知っている社会人は3人に1人に留まる

 人材育成や社員のエンゲージメント向上を目的として、上司と部下が定期的に1対1で面談を行う「1on1制度」。まずはその名称について認知度を尋ねたところ、「聞いたことがない」人が65.2%という結果になった。大手IT企業での導入をきっかけに注目されつつある1on1だが、知っている社会人は約3人に1人と、現場ではまだあまり認知されていないことが明らかになった。

「1on1」を導入している企業に勤める社会人は2割未満

 前の質問で、1on1について「聞いたことがある」と答えた社会人(回答34.8%)に、勤務先の導入状況について聞いたところ、「取り入れている」が41.8%、「取り入れていない」が58.2%だった。一見、大きな差はないようだが、「聞いたことがある」社会人自体が34.8%だったことを鑑みると、導入している企業に勤める社会人は、全体の約15%と少数に留まり、多くの企業において、1on1制度の導入にはまだ至っていない現状が見て取れる。

5割以上の社員が「上司に褒められたい」と感じている

 次に、上司と部下のコミュニケーションの現状を尋ねるため、「直近1カ月で上司に褒められたいと思ったことがあるか」という質問をした。すると、「思ったことがある」が51.7%、「思ったことがない」が48.3%となった。約半数の社会人は、自分の仕事を上司に褒めてもらいたいと感じているようだ。

「1週間以内に上司に褒められた」社会人は約3割

 続いて、「1週間以内に上司から褒められたか」を聞くと、「褒められた」が34.4%であることに対し、「褒められていない」が65.6%となった。ごく最近の期間に上司から褒められた経験がある社会人は多くないことが分かった。

 5割以上の社会人は上司に褒められたいと思っている一方、6割以上は褒められていないという現状から、上司と部下の間で「褒める」という評価している姿勢を示すコミュニケーションが希薄になっていることがうかがえる。

 認知度・導入状況ともにまだ高いとはいえない1on1。しかし、上司と部下が定期的に1対1で面談することにより、両者の間で自然と「褒める」、「報告・相談する」といったコミュニケーションが生まれるだろう。1on1をうまく運用することで、部下のエンゲージメントや仕事に対するモチベーションを高める効果が期待できるのではないだろうか。

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HRプロ編集部

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