日本企業では急速に高齢化が進んでいます。多くのメーカーでは平均年齢が40代後半に差し掛かりつつあります。メーカーに限らず、多くの日本企業では40代と50代が社員の半数以上を占めているでしょう。一方で日本企業の人事部では、年齢構成がいびつだから、50代以上のシニア社員を減らしてもっと若手を入社させたいという声がささやかれ、あたかも社員が高齢化することが悪であるかのような意見を耳にすることもあります。いったいシニア社員の何が問題なのでしょうか。今回は、シニア活用の現場に焦点を当てます。
「シニア」という言葉からイメージする年齢と特徴は
そもそも「シニア」とは何なのでしょうか。
マーケティング調査会社のリサーチ・アンド・ディベロップメント社の調査によれば、20代~50代までの現役世代がシニアだと思う年齢は「64.2歳」だそうです。この調査結果と私の人事としての「シニア」の実感値はかなり異なります。社内外の人事関係者と話をしていると「シニア」は40代後半以上の社員を指しているように感じるため、多くの場合は50代社員をイメージしているのではないでしょうか。
また、この「シニア」と呼ばれる層は、あたかもある特徴を持っているかのように語られます。それは「昭和生まれ、日本人男性、ジェネラリスト、転職経験なし」というものです。「シニア」が出てくる話はたいていいつも、時代遅れでパフォーマンスが出せなくなった社員をどう活性化するのかという文脈です。
例えば先日、人材紹介会社から新しいサービスの売り込みを受けました。その内容は「非活性シニアを社外に出して再教育しませんか」というものでした。具体的にはシニア社員をベンチャー企業などの異業種と交流させるサービスでした。
営業担当者の方に「『非活性シニア』とは何ですか?」とお伺いしたところ、「やる気がない、パフォーマンスが出せない、会社にしがみついている高齢社員」のことだと返答されました。会社にしがみついていて転職なんてできない存在だからこそ、社外に出して将来的なセカンドキャリアを考える必要があるのだ、そんな主張でした。
「シニア」とは、会社にとってそんなにやっかいな存在なのでしょうか。