ボロブドゥール遺跡

(PanAsiaNews:大塚 智彦)

 インドネシア・ジャワ島中部にある世界的な観光地でもあるユネスコ世界遺産の仏教遺跡「ボロブドゥール」で上層部への一般観光客の立ち入りを禁止する措置がとられ、訪れた観光客などを残念がらせている。

 立ち入り禁止措置は観光客がマナーを守らないことが主な理由だが、多くの観光客が回廊を歩くことから床部分が相当に傷んでおり、修復のための調査という目的もあるという。

 8世紀後半から9世紀前半にかけて建立されたとされる世界でも最大級の仏教遺跡として有名なボロブドゥールは、長らく歴史から忘れられ1814年に森の中から発見された。その後日本の技術協力などで修復整備作業が進められ、世界的な観光地として知られるようになった。

 同じく世界遺産のヒンズー教遺跡の「プランバナン」(9世紀建立=ジョグジャカルタから東へ17キロ)と並んで中部ジャワの古都ジョグジャカルタから日帰りで行ける観光地として有名で年間約400万人が訪れる。特にジョグジャカルタから北西約42キロにあるボロブドゥールは遺跡上部で日の出を迎える観光ツアーが盛んだけに、観光客のマナー遵守と調査終了で早期に禁止が解除されることが観光業界などからは求められている(現在も立ち入りが許されている遺跡の8層までからでも十分に朝日が望めることから、日の出ツアーは続けられているという)。

落書きに破損、タバコに無茶な写真撮影

 インドネシア教育文化相、観光省、ボロブドゥール遺跡保護局(BKB)などは2月13日から遺跡の最上部分にあたる9層と10層部分の回廊に一般観光客が立ち入ることを全面的に禁止とする措置に踏み切った。

 BKBによるとストゥーパ(卒塔婆)や仏像が主に並ぶ9、10層を訪れた観光客による落書き、煙草をもみ消した跡、彫刻の表面剥離、石の隙間にゴミや吸い殻をねじ込んだ痕跡などが多く発見された。さらにセルフィーなどの写真撮影のためにストゥーパによじ登ったり仏像に触れたりするケースも多くみられ、遺跡観光のマナー違反が目立つようになったという。