韓国第3位の財閥であるSKグループの崔泰源(チェ・テオン)会長(50)が、先物取引で1000億ウォン(1円=13ウォン)を超える損失を出した。韓国メディアが一斉に報じている。

 背景を探ると、無理な世襲を続けなければならない「3代目オーナー」の悲しくもバカらしい宿命があるようだ。

サムスン、現代自動車に次ぐ第3位の財閥グループ

プラスチック製品価格談合で10社に総額134億円の課徴金 - 韓国

ソウル市内のSK本社のロゴ〔AFPBB News

 SKグループは、2011年4月初めに韓国の公正取引委員会が発表した「財閥資産ランキング」によると資産規模が97兆ウォンで、サムスン、現代自動車グループに次ぐ韓国第3位の財閥。

 傘下に携帯電話サービス首位のSKテレコムや韓国最大級のエネルギー会社など公共性の高い優良企業を抱える。トップに何が起きたのか。

 韓国の国税庁が昨年から、SKグループに対する税務調査を実施していた。通常調査と見られるが、この過程でオーナー会長である崔泰源氏が巨額の損失を出していたことをつかんだようだ。

 ことの顛末は、こうだ。

 崔泰源会長は、金融業界にいた知人のアドバイスを受けて2008年から財テクに乗り出した。この知人を絶対的に信頼していたのか、かき集められるだけの個人資産をハイリスク型の先物取引につぎ込んだようだ。

会社のカネを流用したとの声も

 投資した金額は4000億ウォン。この投資のためか、崔泰源会長は2007年以降、2度にわたってSKグループ系列企業の一部株式を売却して、合わせて2000億ウォン近くを調達していた。

 さらにグループの持ち株会社であるSKC&Cの個人保有株を担保にして証券会社から2000億ウォン近くを借り入れたという。

 いったい何に投資したのかは不明だが、韓国の証券街では「損失金額が大きいことから、海外株式か、原油先物などではないか」という憶測が出ている。

 韓国の一部メディアは、「個人資産だけでなく、会社のカネも含まれているのではないか」との疑問を投げかけている。