株式と債券の値動きは完全に真逆ではない

 ところで、勘の鋭い読者のみなさまの中には、

 「えぇ? 価格の動きが逆なら、もしかして株式と債券の両方に投資してもプラスマイナスゼロになるだけなのでは?」

 と、突っ込んでいらっしゃる方もいらっしゃるでしょう。

 ごもっともです!

 でもあいにく、性格は真逆でも、その価格の動きまで合わせ鏡のように真逆ということではありません。あくまでも「価格の動きが逆の傾向」にあるだけなのです。

 なので、性格が真逆の株式と債券に投資すれば「リスクを抑えられる」、つまり「価格の変動の幅を狭められる」可能性があるのであって、決して「リスクがゼロになる」わけではありません。

 ここまでの文章を読んだ「預金が絶対!」という方は、「なーんだ、やっぱりね。世の中、おいしい話はないよね」と、心の中で念を押していらっしゃいませんか?
 結論を出すのは、まだまだ早いですよ。

ハイブリッドな投資信託「バランスファンド」

 ところで、「株式への投資」と「債券への投資」という、性格が真逆な、異種な資産への投資を同時に行う、手間なく気軽にできる方法ってないものでしょうかね?

 ガソリンと電気という、異種な燃料の組み合わせで動く自動車を「ハイブリッドカー」といいますよね。
 投資の世界でも、ハイブリッドな商品があります。

 株式と債券という異種な資産をワンパッケージにした投資信託を、投資の世界では「バランスファンド」といいます(投資信託協会の分類では資産複合型といいます)。
 バランスファンドという一つの商品に投資するだけで、相性の合わない者同士、つまり株式と債券に同時に投資することができるのです。

ハイブリッドカー電気とガソリンを組み合わせることでエネルギー効率を高めるハイブリッドカーのように、バランスファンドも価格の変動を抑えながら一定の値上がりを目指して、投資の効率を高める効果が期待されます
リーマンショック時のバランスファンドの思い出

 バランスファンドの効果について、まだ半信半疑という方も多いことでしょう。
 ここで、筆者が若い時のお話をしたいと思います。

 同じ運用会社で、「株式100%」の株式ファンドと、「株式20%と債券80%」のバランスファンドの2つを持っていたのですが、2008年のリーマン・ショックの時に、バランスファンドの実力をまざまざと見せつけられました。

 株式ファンドの方は、1万口=1万円で始まった基準価額がみるみる下落し、3000円くらいまで下がりました。一方、バランスファンドの方は同じ1万円で始まった基準価格が、8500円くらいで推移していました。
 (基準価額とは投資信託の価格のこと。株式の株価にあたります)。

 その後、株式ファンドの方は投資額に対して、2.1倍くらいになったところで売却しました。バランスファンドの方は投資額に対して1.3倍くらいで売却したような記憶がありますね。
 長く待てば結果的に株式ファンドの方が値上がりしたのですが、当時は多くの人が株式ファンドの急激な値下がりに耐えられず、売ってしまったと聞きます。

投資も実はライフプランニングが大切

 ここ7年ほど、筆者はバランスファンドに投資していません。
と申しますのも、今の(つまり年齢を重ねた)筆者はバランスファンドを好まないからです。

 筆者がなぜ、バランスファンドを好まないのでしょうか?
 ちなみに、筆者のお客様でバランスファンドに投資いただいている方もいらっしゃいません。その理由は、実はお客様のライフプランニングとの関係によるからです。
 ライフプランニングというと、「生命保険の見直し」をイメージする方もいらっしゃるかもしれませんが、実は投資もライフプランニングが大切なんです。投資はギャンブルでも、投機でもありませんからね。

 とは言いながら、筆者は、この3月にはバランスファンドに、再び投資する予定です。

 なぜ、ライフプランニングのための投資でバランスファンドを選ばなかったのか?
 そして、なぜ再びバランスファンドへの投資を始めようと思ったのか?
 その理由については、「投資とライフプランニングの関係」とあわせて、稿を改めて述べてみたいと思います。

まとめに代えて

 「インフレによる現金資産の価値の目減りを防ぐ」ことを目的に、具体的にはインフレ率2%と同じくらいのパフォーマンス(=投資の成果)を目指した投資には、世界の株式と債券に投資するバランスファンドが向いていると、筆者は考えています。

〈お断り〉
 筆者は、今では好まないバランスファンドを、7年ぶりに、そして3月に購入予定と書きましたが……。
 「じゃあ、バランスファンドは3月が買い時なの?」と心の叫びが聞こえた方や、「リーマン・ショックの時に実力を発揮したバランスファンドに投資するということは、また金融危機が?」と頭が回転した方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。

 投資とは、「未知の未来への投資」です。
 「自己責任」というと厳しく聞こえてしまいますが、叶うことなら、その判断も含めて、楽しみながら投資に取り組んでいただきたいと思います。