「ハンター氏は父ジョー・バイデン氏が副大統領に就任すると同時に、その影響力を使って、自らの関与する海外事業の進出・展開に諸外国の政府中枢に接近した」

「副大統領が自分のビジネス関連の国へ外遊する際にはエア・フォース・ツー(副大統領専用機)に同乗した」

「ハンター氏はイェール大学で一緒だったデバン・アーチャー氏とパートナーを組む『バーハム金融グループ』の重役も兼務。父の名前をちらつかせて同グループの海外事業拡大に貢献してきた」

「同グループはカザフスタンや中国での事業不正取引、さらには米国内では先住民(アメリカインディアン)オガララ・スー族との不正債権疑惑や労組の年金不正疑惑などにも関わり合いを持っていた」

「アーチャー氏は2016年、出資者の金を横領した容疑で逮捕され、その裁判記録には同グループにおけるハンター氏の役割が明確に記録されている」

「特に債権疑惑を巡ってはハンター氏が一連の容疑に関与していたのは間違いがない」

実弟2人、妹、娘婿も“利用”か

 バイデン前副大統領の「七光り」の恩恵にあずかっていたのは長男のハンター氏だけではなさそうだ。

 シュバイツァー氏の調査によれば、バイデン氏の実弟のジェームズ氏も恩恵にあずかっていた一人だ。

「ジェームズ氏は、戦争終戦直後のイラク復興工事に参入する韓国系建設会社の下請け会社『ヒルストーン・インターナショナル』に関与、兄の名前をちらつかせながら契約締結していた」

「同じく実弟のフランク氏は中南米コスタリカにゴルフ場、カジノ、アンチエイジング(抗加齢化)施設など建設事業を始める際に兄ジョー氏の名前を最大限に利用した」

「バイデン氏は、過去の選挙キャンペーンに実妹のバレリー・オウェン氏が共同経営する選挙関連会社『ジョー・スレード・ホワイト&カンパニー』と独占契約し、選挙対策本部から総額250万ドルを支払っていた」

「末娘のアシュリー氏の夫、ハワード・クライン医学博士の経営する医療投資コンサルティング会社『スタートアップ・ヘルス』はバイデン氏の紹介でオバマ政権高官たちと頻繁に接触していた。同社のイベントにはバイデン副大統領自らが出席していた」

 シュバイツァー氏は、バイデン氏の家族・親族に対する異常なほどの「便宜供与」「利益誘導」についてこう指摘している。

「リベラル派のキングと言われてきたジョー・バイデン氏の数々の『政治的影響力に基づく談合』(Sweatheart Deal)をわれわれはどう見たらいいのだろうか」

「政治家たちのこうした不正行為は保守もリベラルも関係ない。リベラル派エリートたちによる権力の乱用は至る所に存在しているのだ」

 バイデン氏は、かってこうした「疑惑」が囁かれた際に「私は自分の息子や兄弟、親族と彼らのビジネス上の利益について話したことなど一回もない。以上」と全面否定している。

 本書が暴いた「疑惑」について1月25日現在コメントしていない。