今回は私なりに、震災で浮かび上がった「ITの弱点」について考えてみたい。
インターネットで津波の動画を見るたびに、考えることがある。
動画では、まるで木でできた「おもちゃ」のように車が流されていた。普通乗用車は1~2トンの重さがあるはずだ。バスだと10倍近くはある。それがあんなに簡単に流されている。
そして、流された車が積み重なっていく。車は非常に便利なものであるが、動かなければただの「鉄でできた箱」である。
流されなかった車も、震災直後はガソリンがなく、「ただの鉄でできた箱」のような状態が続いた。
今回の震災では、おそらく相当数のPCやサーバーが流されたであろう。中には、企業や自治体が使っていた汎用機もあったに違いない。
もともと、パソコンは「電子部品が詰まった箱」である。人間がプログラムを入力して、実行することで初めて価値が出る。流されなかったPCやサーバーも、震災直後は電気が供給されず、「電子部品が詰まったただの箱」のような状態となっていた。情報(データ)を取り出すことも活用することもできなかった。
PCを仕事には使っていなくても、メールやツイッター、フェイスブックなどの情報が蓄積されていたはずだ。そうした情報が、今回の災害では相当流失した。再び同じPC環境をつくるのは至難の業だろう。
すべての戸籍データを消失した町
会社ならば、会計情報のシステムが必ずある。決算書類は税務署が保管しているかもしれないが、それらの書類や、データを保存しているPCなどが流された場合、その会社自体の存続が脅かされると言っても過言ではない。