ソニーの「ウォークマン」から米アップルの「アイポッド(iPod)」へ。時代の変遷、特に音楽、映像の技術変化への対応は速い。カセットから、CD、ミニディスクを経由し、現在はMP3全盛の時代だ。
フランスの若者は半数以上が音楽を違法コピー
若い世代は、CDを購入するより、アップルのアイチューンズ・ストア(iTunes Store)から音楽をコンピューターにダウンロードして、アイポッドやMP3プレイヤーで聞いている人が多い。
また、デジタル世代は、無料ダウンロード世代でもある。ネットに接続して、無料ファイル交換サイトで検索したり、友人からファイルをコピーしてもらったりして、違法コピーが当たり前のように行われている。
フランスでは、18~24歳の若者は57%が違法コピーをしたことがあるとの統計もある。
音楽業界がデジタル時代に懸念しているのは、著作権をどのように保護するかということだ。無料ダウンロードが蔓延している中で、どのように消費者にお金を払ってもらうかが、大きな課題である。
フランス政府は、違法ダウンロードを減らそうと検閲を始めた。
違法ダウンロードは3年の懲役刑に
抜き打ち的な検査を実施、違法ダウンロードをしているのを見つけた場合は、2009年9月に施行されたアドピ(Hadopi)法で、インターネットの接続禁止と、最大30万ユーロ(約3500万円)の罰金と、実刑3年が科される。
しかし、フランス人の危機感は薄いようで、中高生の大半は音楽にお金を払う習慣がなくなっているようだ。ネットからダウンロードされる音楽のうち、料金が支払われているのはわずか6%分だけだという。あとの大半は違法コピーと見られている。
この風潮に目をつけたのが、現在まだ26歳のダニエル・マリリー(Daniel Marhely)氏が立ち上げた「無料」の音楽ストリーミングサービスをしているディザー(Deezer)。今や10人に1人のフランス人が利用している人気サイトだ。
2006年6月に創立されたブログミュージック(Blogmusik)が前身で、無料で好きな音楽が聞けるということで人気が出たが、音楽業界との軋轢で、ブログミュージックを閉鎖。