本連載では、資産運用を始める前にぜひ知っておきたいポイントをわかりやすく紹介します。第1回は、「リスクとリターンの関係」を取り上げます。

はじめに~リスクとリターンのイメージ

 資産運用の入門書などでは、下の図のようにリスクとリターンとの関係が描かれています。

 預貯金が最もローリスク・ローリターン、株式が最もハイリスク・ハイリターンの金融商品とされているのはどうしてでしょうか? 以下、リスクとリターンの意味などを整理しながら、その関係について見ていきます。

リスクとは「リターンの振れ幅」のこと

 リスクという言葉を聞いて「危険」というイメージされる方が多いかと思います。しかし、資産運用の世界では「リターンの振れ幅」を意味します。上の図では、ある期間(10年や20年)のリスクとリターンの関係を平均的に示しているため斜めの直線になっていますが、実際のリターンは日々さまざまなリスク要因によって上下に変動しています。

なぜ株式はハイリスク・ハイリターンなのか

 各金融商品がリターンを上げる方法は、

 1.利子や配当から得られるインカム・ゲイン
 2.元本の値上がりによって得られるキャピタル・ゲイン
 3.円高・円安による影響で生じる為替差益

 の3つになります。

インカム・ゲイン

 主なリターンがインカム・ゲインの金融商品として、預貯金や債券が挙げられます。固定金利の預貯金や債券の場合、利子は一定です。また、会社が出す配当は業績によってゼロになることはあるもののマイナスになることない、というのがインカム・ゲインの特徴です。

キャピタル・ゲイン

 キャピタル・ゲインは、投資した元本が短期間で何倍にもなったり、何分の1になったりするものです。代表的な金融商品が株式です。株式のキャピタル・ゲインは、リターンが大きくプラスになることもあれば、マイナス(キャピタル・ロス)になることもあり、ハイ・リスクといえます。

為替差益

 為替差益(差損)は、海外の株式や債券などに投資した場合発生します。外貨建ての金融商品を購入した時点の為替レートから円高になった場合、リターンはマイナス、円安ならプラスです。短期的な変動は、キャピタル・ゲインより大きくなることもあります。

 下の表は、各金融商品のリスクとリターンについてまとめています。「変動あり」が多いほど、資産運用においてハイリスク・ハイリターンの金融商品と位置付けられます。