*本稿は『FISCO 株・企業報Vol.8』(実業之日本社)の記事を一部編集の上、転載したものです。
反日・反米、親中・親北の傾向が強い文在寅政権は、THAAD配備後、米国と中国の狭間で双方からプレッシャーをかけられ、他方、日本に対してはレーダー照射問題を起こすなど、日韓関係を悪化させるような動きを見せている。文政権にはどんなイデオロギーがあるのか。そして、アジアの安全保障の軸である日米韓の関係をどうするつもりか。
海空を中心に日本を上回る軍事費となる可能性も
主要国の軍事費(GDP比較)の推移(米ドル換算、億ドル、SIPRI発表値、2017年)によれば、足もとの韓国の軍事費は、対GDP比では一定の比率を保っているものの、GDPが増加傾向であるため、軍事費の絶対額は増加傾向にある。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「(北朝鮮との)対話は圧倒的な国防力をベースにしなければ意味がない」として、軍事費を対GDP比の2.4%から2.9%へ増額する方針である。経済が今後も順調であるという前提であれば、日本の軍事費を上回る可能性がある。
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2017年5月の式典で文在寅大統領は「海洋強国を未来のビジョンにすべきだ」と述べ、大統領選でも「盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が成し遂げられなかった夢(戦時作戦統制権の返還)を私が全部やる」と語っている。
韓国国防部は(文在寅大統領も)、米国のミサイル防衛システムへの参加を否定し、あくまで独自システムの構築を強調しており、米韓の脅威認識の違いや中国の反発への懸念から、自主国防への道を歩んでいる。