米下院情報委員会で始まったトランプ大統領弾劾を審査する公開公聴会。写真はウィリアム・テイラー前ウクライナ臨時代理大使(写真:AP/アフロ)

新事実こそ出てこなかったが・・・

 これまで水面下で続けられてきた民主党主導の「ウクライナゲート疑惑」をめぐる米下院情報委員会の公聴会が13日、全米テレビで実況中継された。

「影の主人公」のドナルド・トランプ大統領は「全くの弾劾詐欺。インチキ興行裁判だ」と嘯いている。

 民主党のナンシー・ペロシ下院議長は「米国にとって悲しむべき日」とつぶやいた。

 弾劾を論じなければならないほど最悪の大統領を選んでしまったことを悲しむ日ということなのだろうか。

 公聴会で証言したトップバッターは、軍人出身外交官とキャリア外交官の2人。

 一人は陸軍士官学校を最優秀で卒業し、ベトナム戦争にも参戦したエリート軍人、国務省に転じて、「ウクライナゲート疑惑」事件が起きた時には駐ウクライナ臨時代理大使だったウィリアム・テイラー氏。

 同氏については、国務省内では「コリン・パウエル(元国務長官)やリチャード・アーミテージ(元国務副長官)とともに外交手腕を発揮した軍人出身外交官の一人」(国務省OB)という評価が定着しているという。

 もう一人は生え抜きの外交官でウクライナをはじめ東欧諸国大使を歴任して、事件当時は東欧担当国務次官補代理だったジョージ・ケント氏。

 証言後、メディアは「2人ともウクライナと米国との信頼関係を大切にしてきた本物の外交官。言っていることに偽りがない」と一様に高い評価を与えている。

 2人はすでに未公開聴聞会で証言しており、その内容はメディアで報道されている。従って13日の証言には「新事実」はほとんどない。