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 株式会社サイバーエージェントは2019年10月、グループ内の企業間で副業を促進する新制度「Cycle(さいくる)」の導入を発表した。技術者を対象としたもので、開始は2019年10月29日。外注していた業務をグループ内で循環させることにより、事業の活性化と社員のスキルアップをはかり、会社全体の技術力向上を目指すとしている。

外注業務を副業化してグループ内で循環。社員が対応することで企業全体の成長を促す

 働き方改革によって「副業・兼業」を承認する流れを受け、各企業においても社員の副業促進に対する関心は高まる傾向にある。この流れに先んじて2015年から全社員を対象に承認制で副業を解禁していたサイバーエージェントが、今回、新副業制度「Cycle(さいくる)」を導入する。社外に発注していた業務を、グループ内の他社に所属する社員が副業として請け負うものだ。業務をグループ内で循環させることとなり、事業の活性化と社員のスキルアップが見込める、としている。

 本制度は、エンジニアやクリエイターなどの技術職社員が、通常の業務以外のサービスやプロジェクトなどを請け負うというグループ内独自の仕組みだ。副業を希望する社員は、自身が所属する会社とは別のグループ内他社の仕事に限り、就業時間外に従事することが可能となる。働き方としては、「ゲーム子会社に所属するイラストレーターが、同社運営の他のサービスで使用するイラストを描く」、「同社のエンジニアが、人手不足に悩む新規事業プロジェクトの一部を請け負う」といった例が想定できるという。

 副業を希望する社員は、請け負う仕事の内容や就業のタイミングを自分で選ぶことができて給与以外の報酬も得られる。また、会社側としては、これまで外部に発注していた業務を社内で行うことで質の向上がはかれるほか、部署移動などの手続きをはぶいて技術職社員個々のスキルアップ、ひいてはグルーブ全体の技術力向上が期待できるとしている。

 厚生労働省により「副業・兼業を推進するガイドライン」が定められたことを背景に、副業を解禁するか否か検討のさなかにいる企業もあるだろう。副業推進によって生み出される雇用側と被雇用側双方のメリットにも目を向け、多様な働き方の実現に一歩踏み出す企業が増えることが期待される。

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HRプロ編集部
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