(後藤 健生:サッカージャーナリスト)
東京オリンピックのマラソン・競歩は最終的に札幌で開催されることが決まった。
そもそも、前回のコラム(「米テレビの都合優先、オリンピック正常化の方法は?」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58104)でも触れたように、夏季オリンピックというのは大きな矛盾を抱えた巨大イベントだ。何よりも、開催時期が7月後半から8月、つまり屋外でスポーツを行うには最も適さない北半球の真夏の時期と決まっており、しかも1つの都市でわずか2週間強の間に集中開催されるのだ。
こうした矛盾が噴出したのが、今回のマラソン・競歩問題だった。
米国のテレビマネーに依存するIOC
そこで、前回は「オリンピックを長期間にわたって分散開催したらどうか」という提案をした。たとえば3月から8月まで6か月ほどをかけて時間的に分散して行えば、それぞれの競技に相応しい気象条件の中でプレーできるし、開催都市の負担も大幅に軽減される。
しかし、この案の実現は難しいだろう。オリンピックが7~8月に開催されるのはアメリカのテレビ局(具体的には北米での独占放映権を持つ3大ネットワークの1つ、NBC)の都合だからだ。他の人気プロスポーツと競合しない8月にオリンピックというビッグイベントが行われるのは彼らにとって大きな利益なのだ。
そして、オリンピックを主催する国際オリンピック委員会(IOC)はアメリカのテレビマネーに依存している。