(後藤 健生:サッカージャーナリスト)
2020年東京オリンピックが“マラソン問題”で揺れている。
大会開幕まで9カ月余りとなった10月17日になって国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が突然「東京五輪のマラソンと競歩のコースを札幌に変更する」と発表。8月の東京の気象条件を考慮して、東京より気温が5~6度低い札幌で開催するというのだ。
もちろん、8月の東京の気象条件が選手にとって過酷なのは事実。「アスリートファースト」という観点から言えば、IOCの決定は正しいと言わざるをえない。
だが、大会開催まで1年を切った時期での突然の変更というのはあまりに無謀。また、開催都市である東京都との事前の話し合いもないまま一方的に決定を発表するIOCの手法もあまりに強引すぎる。さらに、開催地変更に伴って発生する費用を誰が負担するかなど、さまざまな問題が噴出した。
そもそも夏の東京の高温多湿は最初から分かっていたこと。「何をいまさら・・・」と思うのが常識的な感想であろう。
なぜ酷暑の8月に開催するのか?
1964年に開かれた東京オリンピックは秋の10月10日に開幕したが、2020年大会は暑さも盛りの7月24日から8月9日まで開催される(いくつかの競技は7月24日の開会式より前の22日から開幕する)。