(篠原 信:農業研究者)

「いい子だから、お母さんの言うこと聞いてくれる? ちょっと待って、お母さんの話を聞いて! ちょっと! ○○ちゃん!」

「い~や~!」走って逃げる子ども。

 こんなやり取り、目撃したことのある人は多いのではないだろうか。

「いい子だね、○○してね」と頼むと、素直に「うん!」と返事して、いったとおりにやってくれる、実に聞き分けのよい子どもがいる。これはこれですばらしいことだと思う。ただ、私が指導してきた子どもの中では、そうした素直な子どもはどちらかというと少数派。むしろ、アマノジャクの方が多いように感じる。

「ひとりでできる? 無理やろ、やったろか?」

 食事の時間も遊んでばかり、よそ見してばかりの3歳の娘。「早くご飯を食べなよ」と促されても、全然食べようとしない。「早く食べないと、遊ぶ時間がなくなっちゃうよ」と言っても、馬耳東風。

 そこで私がよく使う手。「ご飯いらんの? じゃあお父さんが食べてあげる。さあ、ちょうだい」と言うと、「いやー!」と言って、急にご飯を食べ出す。

「いやいや、無理せんとき。そんなにたくさん食べられへんやろ。お父さんが食べたるから、ちょっとよこし」と言うと、「いやー! ぜんぶたべる」と言って、ガツガツ食べる。私がショックを受けた顔をすると、シテヤッタリと、ニンマリ笑う。