「湿布薬が保険適用から除外される」というニュースが流されれば批判にさらされ、「オプジーボが保険適用された」というニュースが流れれば、称賛を受ける。保健医療の政策決定過程にかかわる人は日々、こんなジレンマを抱えている。

「オプジーボ」と「湿布」

 企業の保険組合の連合体である「健康保険組合連合会」(「けんぽれん」)が、8月23日、驚くべき提言を出したのをご存知だろうか。

「けんぽれん」の主張は端的に言えば次のとおりである。

<花粉症や湿布薬、ビタミン剤など市販薬がひろく流通して代用できる薬品は、保険適用から外すべきだ。これにより約600億円の医療費が削減されるだろう>

 この提言が出されるやいなや新聞各紙やワイドショーが報道。SNSでは次のような声が上がった。

 花粉症で悩んでいる人は「働けなくなるじゃないか」と言い、生活費の圧迫を不安視したひとからは、「また物価が上がる」、「なぜ庶民にしわ寄せがくるのか」といった具合である。他にもこんなものがあった。

「なぜ庶民の薬である湿布や花粉症が保険適用から外れるのか」

「他に削れるところがあるのではないのか」

 まさに批判のオンパレードだ。

 こうした怒りはある意味でもっともでもあるが、一方で医療費の全体像を想像して「湿布薬」や「花粉症の薬」にも落とし穴があることに気が付いている人は少ない。