なぜ最後のフロンティアに飛び込まないのか?

 今、同社は累計160件以上ものスタートアップ企業に出資しており、当然、既にバイアウトを行った企業もある。さらに、今はアフリカにもルワンダから進出している。“ルワンダは、アフリカのシリコンバレー、シンガポールを目指している”と聞き、すぐ飛んだ結果だ。

 そんな彼には、いくつか心配事もあるらしい。例えば彼はアフリカのことを話す時に「アフリカは世界に残された最後のフロンティアなんです」と言った。日本企業はアフリカ市場で中国や米国に遅れをとっている。榊原氏は「なぜこの機を逃すのか」と心配でならないのだろう。

 また、若手起業家の話をする時も若干手厳しい。

「今、世の中には20代で起業して30歳までにイグジット(株を売却して利益を得る)する生き方を目指す方が増えていて、実際にそうなった方もいます。しかし、イグジットで得たお金を新たな事業に突っ込む方が少ないんです。ユニクロの柳井さんやソフトバンクの孫さんを目指せばいいのに、と思うのですが・・・。さらには起業する人たちも“売り上げ数十億円を目指す”とゴールを低く設定する傾向があります。その額、ソフトバンクさんに比べたら数十万分の1だけど、それでいいの? と」

 今、日本でも起業家やエンジェルが増えている。しかし榊原氏の体感値では「シリコンバレーにはエンジェルが1万人近くいると思いますが、日本は数百人、そして大きな挑戦する方も圧倒的にシリコンバレーのほうが多い」とのこと。彼は心配でならないのだ。