中国の国務院は昨年後半に、ニセモノや粗悪品を2010年10月から2011年3月まで徹底して取り締まる「国務院弁公庁関于成立全国打撃侵犯知識産権和制售仮冒偽劣商品専項行働領導小組的通知」を発表した。

顔ぶれは本気、ニセモノ撲滅キャンペーン

深セン・華強北ビルに掲げられたニセモノ・粗悪品反対の横断幕

 このニセモノ・粗悪品撲滅活動を導くグループ(小組)のメンバーには、組長に国務院副総理、副組長に知識産権局局長と商務部部長と国務院副秘書長、さらに成員には公安部副部長や中央宣伝部副部長や工業和信息化部(情報産業省)副部長など錚々たる顔ぶれが並ぶ。

 この通知名をキーワードにニュースを見ると、実際中国各地で取り締まりが行われたというニュースを確認することができる。取り締まりをやっていない、というわけではない。

 しかし、特に電子製品に関してニセモノ・粗悪品は以前と変わらず一向に減る気配がない。取り締まり期間の終盤で、世界消費者権利デーをも迎えた3月15日、筆者は香港に隣接する広東省深センにいてそう感じた。

 世界消費者権利デーは日本では馴染みはないが、中国ではあらゆる製品の品質とサービスを向上させようと近年恒例行事化し、粗悪な製品やサービスを徹底的に洗い出して叩いている。それにもかかわらずだ。

 深センの市街にある「華強北」は中国最大の電子部品・電子製品の市場であり、「山寨機」と呼ばれるノンブランドの携帯電話をはじめとした電子製品と、それらを作るための部品が売られている。

ニセモノ携帯は年間に2億2800万台も出荷されている

 例えば有象無象のアップル「iPhone」もどきの携帯電話や各携帯電話メーカーの製品を模倣した商品、勝手に拝借したキャラクターをあしらった商品が多数売られているわけだ。

 携帯電話だけでなくメーカー不詳のノンブランド製品ゆえに、保証はつかず、「売れればいい」というモノ作りのマインドから売られているモノは劣悪品ばかり。

 そうしたものが年間2億2800万台(2010年、iSuppli調べ)も出荷されている。この数字は前年比43.6%増であり、出荷数に比例して華強北において山寨機デパートと化したビルは年々増えている。

 世界の携帯電話市場でトップシェアのフィンランドのノキアすらも山寨機には困っている。ノキア取締役のエスコ・アホ(Esko Tapani Aho)氏は、全世界で売られている携帯電話の5台に1台が中国産の「fake」であり、中国ばかりかラテンアメリカでも普及しているとコメントしている