検診結果を分析し、日本全体の健康レベル向上へ。コラボヘルスに期待する効果とは
従来、企業は労働安全衛生法の下、健康診断を従業員に提供しなければなりませんでしたが、これは予算の都合上、法廷項目(最低限受けなければならない項目)に限定した企業が少なくない状況でした。しかし、従来の項目に保険者が5がん検診などをプラスし、企業と組合が健診コースを構成することにより、それぞれ負担が分散され、従業員にとっても質の高い健診が提供されるようになることが期待されます。
また、この健診結果を産業保健専門職で集計・分析することで、保険事業全体に向けた施策へと広げることができます。電子化(匿名化)されたレセプト情報と、健診結果を照合させることで、産業保健専門職による従業員や加入者のリスクアセスメントが可能となるのです。企業にとっても、保険者にとっても、健康リスクや具体的な取り組み施策について対策を講じやすくなるでしょう。また、様々な保険事業を展開することにより、個々だけではなく全体の健康レベル上昇に貢献することにも繋がるとされています。
一方、企業においては健診結果から従業員が安全に働ける健康状態かどうかを把握しなければならず、法律上では企業側に義務付けられていないものの、健診受診後に精密検査対象項目があった場合などはサポートしていく必要があります。そうした観点からもデータを活用したリスクマネジメントを大きな枠組みで実施していくことで、企業の支援をより強めていく結果につながることが望まれます。
企業は労働安全衛生法の下、保険者は健康保険法の下、従業員と加入者それぞれの健康維持増進に努めなければなりません。いかに個々のデータを適切に管理・運用していくかという点が重要となることから、医療データを適切に取り扱う人材の確保も必須となり、産業保健職の人材を、社員数、あるいは加入者数に適した形で確保することが必要不可欠となるでしょう。超高齢化社会に向けて今後のコラボヘルスの動向に期待が寄せられます。