流創株式会社 代表取締役 経営コンサルタント/作家 前田 康二郎
「フリーランスの経理・管理部長」「IC(独立請負人)」 として、数多くの企業を担当されている前田康二郎(まえだこうじろう)氏の連載記事がスタートします。
働き方改革は、どの企業に取っても喫緊の課題でしょう。しかし、労働時間を削った結果、家に仕事を持ち帰っては意味がありません。また、生産性が落ちて、売り上げにしわが寄っては本末転倒です。
経理のプロならではの視点で、生産性を向上させ「利益に繋がる働き方改革」を指南してもらいます。(編集部)
皆さん初めまして。今月からコラムを担当させていただくことになりました前田康二郎と申します。現在は「フリーランスの経理・管理部長」「IC(独立請負人)」 として、さまざまな会社のお手伝いをさせて頂いています。どうぞよろしくお願いいたします。
私自身のキャリアは、会社員として経理財務のキャリアからスタートしました。その後、ベンチャー企業などで総務人事も兼任で行いながら、内部統制やIPO(株式上場)業務など、バックヤード全般のキャリアを積んでいきました。そして中国での駐在から帰国した今から8年前、フリーランスとして独立をしたわけですが、実はそれよりずっと以前から、どうして「フリーランスの事務職」という働き方がないのだろうか、と考えていました。
デザイナーや営業など、1人で独立して仕事をしている人達はたくさんいるのに、事務職で独立している人がいないのはなぜだろう、誰かが始めたらいつか追随したい、と漠然と考えていました。しかし何年経ってもそのような方は現れず、自分でやるしかないか、と始め、今に至ります。
「人事部や総務部、経理部といったバックヤードの部署は売り上げを持たないから、スリム化しよう、外注委託してしまおう」というお考えの企業や経営者の方は昔も今も大勢いらっしゃいます。それは各企業や経営者の方々の考え方ですから尊重すべきですが、経営面、数字面の視点から見ると、私の考えは少し異なります。
特にそのように考えるようになったのは、独立してから経営危機の会社にいくつか訪問させていただく機会を得てからです。いずれの会社も経営危機と言われながらも、真面目な経営者の方、優秀な営業、優秀な技術者、良い製品やサービスが存在し、皆さん一生懸命働いていました。ただ唯一、共通して存在していなかったものがありました。「優秀なバックヤードの社員」です。どの会社でも「実は優秀な方がいたのですが、少し前に辞めてしまって」という会社ばかりだったのです。
その時に私は、「バックヤード」というものは、確かに売上は持たないけれど、「利益」には必ず影響を及ぼしている存在であることは間違いない、と確信しました。つまり、「バックヤードの弱い会社はいずれダメになる」ということです。だから私の仕事の目的の一つに「その会社の社員、特にバックヤードの社員そのものの強化」ということがあります。
できうることなら、「最強のバックヤードのチーム」を内部に持っていることこそが「強い会社」である必須項目の一つであると考えています。クライアント先の社員の皆さんにも、事務処理だけでなく、利益を出す組織にするためには、どう自分が考え、提案し、行動して、現場や経営者を支えていくか、ということに関して特にお伝えしています。