3月11日の東日本大震災と、その後の福島第一原発の事故で日本はまさに危機的状況下にある。原発から200キロメートル以上離れた首都圏でさえも、放射線量の情報に一喜一憂するありさまであり、まさにパニック寸前の状況と言っても過言ではない。

 特に原発事故の影響は、放射能汚染にせよ電力供給不足にせよ、そう簡単に収束するような性質のものではない。それだけに今後の展開は予断を許さず、こうした状況が数カ月は続くとすれば、そのストレスは大変なものになる。

 大震災以前、日本のマスコミの関心は中東・北アフリカの「ジャスミン革命」に向けられていた。大震災後も、情勢は動いている。ついにリビアでは、英仏米による軍事行動が発動され、カダフィ政権も最期を迎えようとしている。

 しかし、バーレーンやシリアでは事態の不安定化が収まらず、さらに事態が広域化する懸念は拭えない。もし政情不安がペルシャ湾岸諸国に及べば、わが国はおろか、韓国、中国のエネルギー供給にも影響が出てくることは避けられない。まさに日本の安全保障にとって、内外から危機が迫っている。

 こうしたスケールの大きな事態が急展開している中で、本来ならばもっと注目されてもよいニュースが小さく扱われてしまうのは、仕方がないとはいえ、残念である。

まさにサプライズだった中国の新型ミサイル配備

 3月16日、台湾を代表する情報機関である国家安全局の蔡得勝局長が、台湾の立法院(国会に相当)の外交・国防委員会で国民党立法委員の質問に対して答弁し、中国が新型の「東風16」短距離弾道ミサイルを台湾に向けて配備し始めたことを明らかにした。

 台湾の報道によれば、この東風16は射程800~1000キロメートルで、従来配備されてきた「東風11」(射程300キロメートル)や「東風15」(射程600キロメートル)の派生型ではなく、まったくの新型で、破壊力も東風11、15を上回るという。

 この突然の東風16の登場は、まさにサプライズである。中国軍事ウォッチャーで事前にこの情報を持っていた者はいないはずだ。