今回の地震・津波による発電所の壊滅や損傷は、東京電力とその供給エリアだけ(それだけでも大変だが)の問題にはとどまらない。ここから日本の社会全体にどのような影響を及ぼすことになるのか、検討してみたい。

 我々の生活と日本の経済活動は、原子力発電に多くを依存している。「もちろんそれは知っている」と思うかもしれない。しかしマクロな指標として「日本で1年間に使われている電力の約3割が原子力発電によるもの」と語られる以上に、原子力発電への依存度は高いのである。

 それは、原子炉(核分裂炉)を動かし始めたら簡単には停止できないし、その出力、つまり炉で発生する熱の調整も細かくはできないことに起因している。つまり原子力発電は、長時間にわたって一定かそれに近い電力を送り出す、という使い方になるわけだ。

 一方で、電力の消費量(需要)は1日の中でも変動するし、もちろん1年を通しても変動する。そこで最も電力需要が低下する時期・時間帯の供給量(発電量)をまず原子力発電でカバーするように設定すれば、出力調整をせずに一定の運転ができる。

 1日の中で、さらに季節や時期によって変動する分をそこに「上乗せ」するのに、石炭、石油、天然ガスなどを燃料とする火力発電を使う。つまり火力発電所は常にフル稼働しているわけではないのである。

 年間発電量全体の中で原子力発電が29%。火力発電が61%強。水力発電は8%。残るわずかな量が地熱や太陽光などによる発電。これが日本の電力が何によって作られているかという構成である。

 このあたりの具体的な内容を見たい場合は、電気事業連合会のウェブサイトの「電気事業のいま/電気事業の現場」が分かりやすい。また東京電力のウェブサイトで「数表でみる東京電力」(PDFファイル)をダウンロードしておくと、今回の地震・津波の影響がどう表れるかも含めて、いろいろ検討する参考になる。

福島では原発910万キロワット相当が停止、火力発電所も被害

 東京電力は日本最大の電力供給販売企業であって、2009年度で見れば、日本全体で1年間に販売された電力量8585億キロワット時(kWh)のうち2802億kWh、つまりちょうど3割を送り出している。1日平均では7億7000万kWh近く。刻々と送り出している「電力」の平均値としては3200万キロワット(kW)になる。9社ある電力会社の中でも、2番手の関西電力のほぼ倍という「巨人」である。

 実は2007年7月の新潟県中越沖地震で、東京電力の柏崎刈羽原発が被害を被り、2009年末から2011年3月にかけて4基がようやく復旧、発電(営業運転)に入ったが、残り3基、出力にして330万kW分はいまだ修理中という状況である。それもあって最近の「電源構成」は、原子力が27~28%、火力が約50%、水力が14%という総量バランスで推移してきた。そこへ、この地震・津波が襲ったのである。