鈴木誠也の圧倒的なジャイアンツキラーぶり

 その点をふまえて今後のセ・リーグはどうなっていくのか。

「『打線』という意味で点の取り方を知っているのはやはりカープでしょう。直接対決が14試合残っていて、ジャイアンツに唯一勝ち越している。先の爆発力を考えても、カープの踏ん張りがセ・リーグの鍵になるでしょうね」

 昨シーズンまでのカープ打線は、鈴木誠也や丸佳浩といった打率も本塁打も残せる選手が中心、といったイメージが強いが、実は細かい進塁打や、内野ゴロでも1点という「点の取り方」が徹底されていた。

 3年連続で圧倒的な得点力を誇った裏にはまさに「打線」として機能したチーム力あったわけだ。事実、3連覇中、打撃主要3タイトルを獲ったカープの選手はいない。

「あくまでイメージではありますが、個人の打撃数字というのは、下位チームに対して強く、ホームランやヒットを重ねていくことで数字が上がる選手もいるので、チームの勝利とイコールでは測れないですよね」

 その点、カープは今シーズンもジャイアンツに対して唯一勝ち越し(6勝4敗)、そして打っているチームだ。ポイントゲッターとなる選手の対ジャイアンツの成績は軒並み、自身のアベレージを上回る。

・鈴木誠也 35打数18安打.514 5本塁打 9打点 
(対スワローズ.340、対ベイスターズ.308、対ドラゴンズ.268、対タイガース.273)

・バティスタ 39打数14安打.359 4本塁打 6打点 
(対スワローズ.268、対ベイスターズ.240、対ドラゴンズ.225、対タイガース.409)

・西川龍馬 32打数11安打.344 1本塁打 7打点 
(対スワローズ.277、対ベイスターズ.224、対ドラゴンズ.333、対タイガース.235)

 逆に言えば、ジャイアンツと引けを取らない打力を持つベイスターズがジャイアンツを脅かすために必要な「打線」化へのポイントは、同じくポイントゲッターたちがジャイアンツ戦でその力を発揮することにある。

・ソト 51打数11安打.216 5本塁打 12打点 
(対カープ.240、対スワローズ.309、対ドラゴンズ.290、対タイガース.276)

・筒香嘉智 47打数11安打.234 3本塁打 7打点 
(対カープ.367、対スワローズ.353、対ドラゴンズ.355、対タイガース.275)

・ロペス 50打数15安打.300 5本塁打 9打点
(対カープ.217、対スワローズ.237、対ドラゴンズ.225、対タイガース.290)

 ジャイアンツが走るのか、カープが「勝ち方」の本領を発揮するのか、それともほかの球団が「勝ち方」を見つけ始めるのか。ジャイアンツをしのぐ「打線」を作れるチームが、その最右翼となる。

(編集部注:井端氏に話を聞いたのは7月初旬時点であることをお断りいたします。データはすべて7月19日時点のものです)