「蚊に刺されやすい体質」は何が原因だったのか。

 医療の世界は“不思議”があふれている。医療従事者にとっては当たり前でも、一般の人には初耳の理解できないことばかり。そこで、水戸協同病院 研修医、東北大学メディカル・メガバンク機構 非常勤講師の光齋久人氏が、医療についての正しい知識を分かりやすく解説する。今回は虫刺されとアレルギーを取り上げる。(JBpress)

 今年もついに、奴らがやって来ました。

 私は寝室に24時間電子蚊取り線香を焚き、寝る前にはワンポイント噴霧型の殺虫エアゾールを使用します。それでもまだ油断はできないため、枕元には常にスプレー型殺虫剤をお守り代わりに常備しています。

 そうです。私はとても、「蚊に刺されやすい体質」なのです。

 かばんの中には虫除けスプレーと、刺されたときのためのかゆみ止めを常備しています。一年中。

 蚊のいやらしいところは、誰かと一緒にいても常に私ばかりを執拗に狙ってくるところです。私が腕を、脚を、頚を何カ所もかまれてボリボリ掻きむしっているのに、周りの人たちは何事もなく平然としていることがままあるわけで。

 まるで私が犠牲になって、蚊除けの役割をしているようではありませんか。あまりにもアンフェアです。どうしてこのようなことが起きるのでしょうか? 「蚊に刺されやすい体質」の人たちにとって、これは死活問題です。

「蚊に刺されやすい体質」について世の中ではしばしば、「血がおいしいんだよ」とか、「血液型が●型だと刺されやすいんだよ」などと言われたりします。経験的に、高齢になると蚊に刺されづらくなることから、「若いうちはやっぱり血が新鮮なんだね」なんていう人もいます。なんだかどれも煙に巻くような物言いで、眉唾ものばかりです。

「刺されやすい体質」をめぐる仮説

 さて、では科学の世界ではどうでしょうか。