6月27日、G20出席のため大阪に向けてソウルを発つ文在寅大統領と金正淑夫人(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 米国と北朝鮮の間で「仲介役」を自任してきた韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、北朝鮮によって再びメンツをつぶされた。「米朝間で第三次首脳会談に向けての対話が行われている」「金正恩委員長の非核化に対する意志を信じている」という文大統領のメッセージが出た翌日、北朝鮮は「朝米対話は、南朝鮮当局(文大統領)が口出しする問題ではまったくない」「まずは自分の家のことをしっかりとする方が良い」と、非難を浴びせた。

「私はいつでも金委員長に会う準備が出来ている」

 大阪G20首脳会議を控えた26日、韓国の文大統領は韓国と海外、計7つの通信会社と書面インタビューを行い、北朝鮮問題や日韓問題など、外交懸案に対する見解を明らかにした。このうち、北朝鮮問題に関する主要発言は以下のようだった。

「ハノイ首脳会談後も米朝の両首脳の対話意志は色あせていない。両首脳が親書を交換したことが一つの証拠であり、両首脳は相変わらずお互いに信頼を示している。両国の間では第三次首脳会談に関する対話が行われている。その時期(米朝首脳会談の時期)が熟したと思っている」

「南北間でも様々な経路で対話が行われている」

「私は、これまで何度も話したように、時期と場所、形式にこだわらず、いつでも金委員長に会う準備ができている」

「私は金委員長の非核化に対する意志を信じている。私は金正恩委員長と数回にわたる会談を通じて、彼はかなり柔軟性のある人物だと感じた。非核化交渉においてもこうした柔軟性のある決断を望んでいる」

「寧辺核施設が検証の下で全面的かつ完全に廃棄されれば、北朝鮮の非核化は後戻りできない段階に入ったと評価できるだろう」

「米朝会談と非核化過程に実質的な進展があれば、開城工業団地の再開などの南北経済協力にも弾みがつき、国際社会も国連安保理制裁の部分的または段階的な緩和を模索できるだろう」

 文大統領のこのインタビューは韓国でかなり議論になった。「北朝鮮のCVID(不可逆的な非核化)」の定義について、米国ではなく北朝鮮側の肩を持った点、米国の反対がありながらも開城工業団地再開などの南北経済協力の意志を示した点から、保守系メディアから非難を浴びた。