(右田早希:ジャーナリスト)
もう20年以上も前の話だから、「時効」ということで審らかにする。
当時、私は北京でフラフラしていたが、あるパーティで、中国地震局に勤めているという青年と立ち話をした。私が何気なく、「来週、雲南省へ遊びに行くのよ」と告げたら、彼はとたんに真顔になって、「それは絶対に止めろ」と言う。
予知されていた大地震の発生
「なぜ?」と問うたら、「われわれ中国地震局から雲南省政府に対して、『ここ3カ月以内に巨大地震が雲南省北部を襲う』という警告を出しているからだ」と言う。「そんなバカな?」と私は聞き返したが、彼は真顔で「本当だ」と答える。
でも、私はすでに飛行機や宿の手配をしてしまっていたので、翌週に予定通り、雲南省へ旅行に出かけた。だがそこで、20年以上経ったいまでも時折、夢に現れて脂汗をかいて飛び起きてしまうほどの、巨大地震に出くわしたのだ。それは、30万都市が突然埋まるほどの、恐ろしいものだった。後年、日本で阪神淡路大震災や、東日本大震災を直に体験した方なら、肌身に沁みていることだろう。