(舛添要一:国際政治学者)
4月9日、イスラエルで総選挙が行われた。結果は、ネタニヤフ首相の右派政党「リクード」の得票率が26.2%、ガンツ元参謀総長の中道会派「青と白」が25.9%と拮抗、議席数は同数の35議席であった。定数120の議会で、いずれも単独過半数ではないため、他党との連立が必要になる。リクードは、他の右派政党と合計で65議席になるので、ネタニヤフが続投する見込みである。
接戦が予想されていたこの選挙に勝つために、ネタニヤフはパレスチナに対する強硬姿勢を有権者に示し、盟友・トランプ大統領もそれを支援した。トランプは就任以来、エルサレムをイスラエルの首都として認定するなど、親イスラエル路線を明確にしているが、この両者の動きにパレスチナ側は反発してきた。
ネタニヤフと政権を争ったガンツ候補は、ネタニヤフの汚職体質を攻撃し、パレスチナ側との対話路線を強調して支持を訴えたのだが、政権交代の夢は果たせなかった。
票を稼いだ「外交上の成果」
ネタニヤフの勝因の第一は、トランプの援護射撃もあって、外交上の成果を挙げられたことに求められるだろう。
選挙前に、「ブラジルのトランプ」と言われるボルソナロ大統領がイスラエルを訪問し、4月1日にエルサレムの「嘆きの壁」を訪ねている。極右として知られるブラジル大統領によるトランプ同様の行動は、イスラエルの保守派を大いに満足させた。