iPad 2やスティーブ・ジョブズ氏の登場でアップルファンの興奮が冷めやらぬ中、今度は同社の音楽配信サービスの話題が広がっている。米ブルームバーグが3月5日、アップルが音楽配信サービスで無制限のダウンロードサービスを提供する計画だと報じたのだ。
ブルームバーグは情報に詳しい関係者の話として、アップルが仏ビベンディ傘下の米ユニバーサル・ミュージック・グループや、米ソニー・ミュージックエンタテインメント、米ワーナー・ミュージック・グループ、英EMIグループなどのレコードレーベルと交渉を行っていると伝えている。
ダウンロード楽曲もユニバーサルアクセスに
アップルの音楽配信サービス「アイチューンズストア(iTunes Store)」では、ユーザーが購入ボタンを押すと楽曲ファイルがアクセスしている機器にダウンロードされる。
ダウンロードしたものは、パソコンや、アイフォーン(iPhone)、アイポッドタッチ(iPod touch)、アイパッドの間でケーブルで接続して同期(転送)できるのだが、問題はダウンロードが1度しか許されていないことだ。
つまりパソコンを紛失したり、ハードディスクが壊れたりして音楽データを失った場合、それを取り戻すにはもう一度購入しなければならない。
そこでアップルは無制限のダウンロードサービスを提供し、ユーザーの利便性を高めるというわけだ。そのために「再ダウンロード」の権利関係についてレコード会社と交渉している。早ければ今年の半ばにも交渉がまとまり、9月に新サービスを発表するのではないかと見られている。
もしこれが実現すれば、ユーザーには購入楽曲の永久的なバックアップサービスがもたらされることになる。またアイフォーンやアイポッド、アイパッドなどの各端末で音楽を共有するために必要なのは、ケーブルではなく、ユーザーアカウントになる。
これによりインターネット上に保存されたユーザー所有のコンテンツはどの機器からでも利用できるようになり、真のユニバーサルアクセスに一歩近づくとブルームバーグは伝えている。
ダウンロード不要のストリーミングが人気
アップルが利便性の向上を狙うのには、音楽のダウンロードサービスが厳しい競争にさらされているという背景がある。
同社が音楽配信サービスを始めたのは2003年。その後アイチューンズストアはアイポッドの普及とともに利用者が増え、2008年には米国の音楽販売で、米小売最大手ウォルマート・ストアーズのCD販売を抜いて全米1位になった。