2つの現場の距離は直線で4キロほど。この程度離れた2つの犯行現場の間を犯人が移動できてしまったことも、追々、再発防止の観点から検討されることになるでしょう。

 仮に東京で考えるなら、代々木公園から東に4キロ、神宮外苑や東宮御所を抜けて赤坂、溜池あたりまで移動して、第2のモスクを襲撃した程度の移動距離になると思います。

 実際、六本木にもモスクは存在しており、安倍首相の私邸から国会議事堂前あたりまでの距離をこの犯人はフリーハンドで移動したことになると考えると、等身大の距離関係が把握できるように思います。

 もちろんニュージーランドの警察当局も直ちに非常線を張り、犯人の身柄を確保、その他3人の逮捕者があったと報じられています。

 日本の3月16日時点でその中の1人は、武器を携帯していただけで事件とは無関係であったと報じられています。

 当局の非常線をクリアして犯人が移動していた可能性が察せられ、土地勘のある者が、計画的に犯行に及んでいる可能性が察せられるように思います。

 ニュージーランド政府は、今回の事件を計画的な「テロ」と表現していますが、中東由来、「イスラム原理主義」などとの関係で手垢のつきすぎた「テロ」という言葉を用いることには、やや抵抗感があります。

 「テロリスト」としてマークされる、というような場合、中東出身者がターゲットになる場合が非常に多い現実がある半面、今回のように完全にイスラム教徒が被害者であるようなケースに、「同じ表現を使うべきか?」という国際社会の反応があるように思われます。

 海外の報道の中では「ホワイト・ジェノサイド(白い大量殺戮)」と言う表現が、最も実相に即しているように思われましたので、本稿ではこの表現を採用したいと思います。