本の要約サービス「フライヤー」の画面イメージ(画像提供:フライヤー、以下同)

 日本人の“本離れ”が叫ばれるようになって久しい。文化庁の「国語に関する世論調査」(2014)でも、1カ月に一冊も読まないと回答した人が、実に全体の47.5%を占めている。インターネットを毎日眺めていれば、リアルタイムに最新情報は得られるので、わざわざ本など読む必要がないという風潮が、“本離れ”をさらに加速化させていると喧伝されてきた。

 ところが、最近、本当は本を読みたいと思っている人が多いらしいことが分かってきた。2013年に始まった“ビジネス書やリベラルアーツを中心に1冊分を10分で読める要約をネットで提供するサービス”が、右肩上がりの成長を遂げているからだ。会員数は今や30万人を突破し、多くの人々が、その“要約”をきっかけに実際に本を購入しているという。

「フライヤー」会員数の推移

 そこで今回、そのサービスを展開する「フライヤー」の創業経営者・大賀康史氏(40歳)にお話を伺った。

“本離れ”の真実~実は本への強いニーズが

フライヤーの創業経営者、大賀康史氏

「創業は2013年6月です。徐々に業容を拡大し、現在は、スタッフ17人、契約ライター約30人という体制で、1日1本のペースで要約を出し、これまでに約1600冊分(2019年2月時点)を掲載しています」と大賀氏は述べる。

 上記の「国語に関する世論調査」を仔細に眺めると、「以前に比べ読書量は減っている」と答えた人たち(全体の65.1%)の意見として「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」が51.3%で最多。続いて「視力など健康上の理由」が34.4%で、さらには「情報機器で時間がとられる」が26.3%となっている。つまり、“本当は本を読みたいけれど状況が許さない”というケースが多いことが見て取れる。