2月10日、ロサンゼルスで開かれた第61回グラミー賞でプレゼンターを務めた韓国の人気グループ「防弾少年団」

(右田早希:ジャーナリスト)

 日韓の政治的対立が止まらない――。

 韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が、「慰安婦問題は天皇陛下が謝罪すれば収まる」と繰り返し述べている問題について、2月15日にミュンヘンで行われた日韓外相会談で、河野太郎外相が康京和(カン・ギョンホア)外相に抗議。ところが康外相は会談後、「日本との外相会談でその件についての言及はなかった」と発言し、火に油を注いで日韓関係はまた悪化した。

政治的には対立でも文化交流は活発

 徴用工問題を巡っても、日本側の有罪判決を受けて、韓国の原告側は、差し押さえた日本企業の株式を、今月中にも売却する手続きに入るとしている。この件に関しても、河野外相が康外相に対して、問題の解決に向けて韓国政府が日韓請求権協定に基づく協議に応じるよう求めたが、韓国側は回答を保留した。徴用工問題で日本企業に「実害」が出れば、安倍晋三政権としても看過できない問題になってくる。

 その他、昨年末に起こった韓国艦艇による自衛隊哨戒機へのレーダー照射事件、「3・1運動100周年」での韓国政府を挙げた反日行事の数々、2月22日の「竹島の日」を巡る争い・・・。日韓の政治的対立は、もはやとどまるところを知らない。

 だが、私が今回、このコラムであえて強調したいのは、日韓関係には、政治的対立とは別の「友好的側面」も存在するということである。特に、文化交流の面では現在、あの15年前の「ヨン様ブーム」以来の韓流ブームが到来している。言ってみれば、いまの日韓関係は「政冷文熱」なのである。

「そんなバカな」と思われる方に、いくつか実例を示したい。

 観光庁の発表によれば、昨年日本を訪れた韓国人観光客は、前年比5.6%増の752万6000人と、過去最高を記録した。消費額も5842億円と、「爆買い」の中国人に次ぐ額を、多くの消費を日本でしてくれている。

 同様に、韓国観光公社の発表によれば、昨年韓国を訪れた日本人観光客も、295万人に達した。これは前年比28%増である。こうした日韓交流の増加は、政治問題と関係なく、文化的関係が熱を帯びていることを意味している。