かねて米アップルが、iPhoneなどのiOS端末で、雑誌や新聞の定額制読み放題サービスを立ち上げる計画だと、米ブルームバーグが伝えていたが、米ウォールストリート・ジャーナルによると、アップルがメディア企業に提示した取引条件を巡って、その交渉が難航しているという。
報道によると、アップルは、ユーザーから得るサービス料金の約50%を自社で受け取り、残りをメディア各社で分配するという条件を出した。しかし、これにメディア大手が難色を示しており、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどが、いまだ合意していないという。
メディア企業の懸念とは
アップルは、米国や英国などの国でiOSに標準搭載している「News」アプリをまもなく刷新する予定で、これに、昨年(2018年)買収した米ネクスト・イシュー・メディアの「テクスチャー(Texture)」に似た定額制(サブスクリプション)読み放題サービスを加える計画だ。ウォールストリート・ジャーナルによると、その月額料金は10ドル(約1100円)程度と見られている。
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しかし、メディア企業も自社で、デジタル版サブスクリプションを展開しており、その月額料金は、アップルのそれより高いものが多い。アップルのサービスに参加することで、既存顧客を奪われ、収益が減ってしまうのではないかと、メディアは心配しているという。
また、メディアは、電子メールアドレスやクレジットカードなどの顧客情報を自社で保有、管理したいと考えている。顧客との関係を維持したり、新たな出版物の販促を行ったりするために、必要な情報だからだ。しかし、顧客をアップルに奪われると、これら情報を活用したマーケティングが困難になる。