長崎に投下された原子爆弾によるきのこ雲〔AFPBB News〕
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「お前たち日本人か、原爆落としてもらって良かったな、感謝しろよ」
何を言っているのか?
「俺は朝鮮戦争に従軍したんだ。オキナワもアツギも行ったことがある。日本はアメリカが高価な原子爆弾を落としてくれたおかげで、コリアみたいなことにならずに済んだんだ。感謝しなきゃバチが当たるぞ。ハハハハハ」
83歳になるというその老人は悪気もなければ屈託もなく、本気で「日本人は高価な原爆を落としていただいた米国に感謝しろ」と言う。原爆の開発費を払ってもいいんじゃないか、くらいの勢いで、これでは話にもなににもならない。
現地で聞いてみると、例えば1929年大恐慌の頃に米国で生まれ、第2次世界大戦期に育ち、冷戦期に軍で職を得て生涯を終えた南部の米国人(この老人は人間としてはまだ生きているけれど、社会的にはもう終わっているわけで)には、こんな考え方の人間が決して少なくないようだ。
私にとって一番衝撃的だったのは、この老人の言葉自体よりも、彼が決して極右などではなく、ごくごく標準的なリタイア老人だという事実だった。
「原爆を落としてもらって、日本は米国に感謝すべきだ。沖縄はそこでアメリカが血を流して占領した場所なのだから、活用するのは当然だ」
こんな本音の意識が米国世論の大勢を占めているとするなら・・・。日本人には見えにくい「勝者と敗者の見方の違い」が存在しているように思ったものだ。
「絶対王政」は過去のものではない!
米第5艦隊の基地があるバーレーンのマナマ港から出発する米ロサンゼルス級原潜〔AFPBB News〕
話題をペルシャ湾に戻そう。 バーレーン島はオキナワと違い、米軍によって占領されたわけではない。しかしオキナワ以上に湾岸の米軍司令塔として決定的に重要な役割を持っている。
経済規模だけで言えば、島根県を少し下回るほどの小さな国家バーレーンが、湾岸という立地で持つプレゼンス、存在感は、この米軍との関係が支えていると言っても過言ではないだろう。
先ほども触れたように、かつてのバーレーンはクウェート以上の暴政が敷かれていた。もっと分かりやすく言うなら「絶対王政国家」だった。
絶対王政?
フランス革命以前のルイ太陽王でもあるまいに、何を時代錯誤的なことを言っているのか・・・と思われる読者があるかもしれない。いや、そうではないのだ。
