「6通りの働き方」の導入によって、女性社員の不安は大きく解消された。今では、出産を理由に退職する社員はほとんどいなくなったという。

 また、この制度は人材確保のアピールポイントにもなっているという。

「新卒採用の際は、女子学生から、育休の制度がどうなっているか、出産して働いている人はどれくらいいるのかなど、必ず聞かれます。そういうときに、うちはこのような制度がありますという話をすると、すごく興味を持ってもらえます」

 ふくやでは今や「当たり前」となった制度だが、この制度を利用する社員とのヒアリングで、普段からこのような話をしているという。

「会社がこのような制度を作って支援しているのは、当たり前なことではないんだよ、と言っています。現状として、当たり前のようになっているからこそ、何とも思わずに働いてしまうと、そうでない方たちに対して溝ができていくかもしれません」

 確かに、社員全員がその制度の恩恵にあずかれるわけではない。制度を利用しない人たちへの気配りもあったからこそ、文化として定着させることができたのかもしれない。

会社の理念に沿った地域への貢献

 ふくやにはもうひとつ、独特な制度がある。「地域役員手当」と呼ばれるものだ。

 これは、地域活動をしている社員に対して手当を支給するもの。たとえば、PTA活動や町内会の会長、地域のスポーツクラブの監督・コーチなど、地域での取り組みに何かしらの役職で参加している人に対して、会社が支援をするものだ。

 たとえば、少年野球の監督であれば月5000円の手当が支給される。さらに、PTAの場合は、業務時間内にも活動に参加することが可能だ。1990(平成2)年から始まった制度で、これまでにのべ200人程度が利用しているという。