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ネガティブに捉えられる「流出」だが、違う見方をすれば「他球団がお金を払ってでも欲しい選手を育成する力がある」とも言い換えられる。
西武は過去10シーズンでAクラス入り6度の成績を残し、今季は日本シリーズ進出こそ逃したものの、10年ぶりのリーグ優勝を勝ち取っている。毎年のように中心選手が流出しながらも低迷せず、素質の高い若手選手を次々と早い段階で抜擢し、他球団やMLBが欲しがるような一流選手に育て上げている。西武のスカウティング力と育成能力の高さを示していると言えるだろう。
13年ドラフト2位入団の山川穂高は今季4番に座り、47本塁打でプロ5年目にして本塁打王に輝いた。16勝を挙げ最多勝利を獲得した多和田真三郎は15年ドラフト1位入団。16年ドラフト3位で入団した源田壮亮はプロ1年目から遊撃のレギュラーを獲得し17年の新人王・・・と、実際に今なお、球界を代表する選手を生え抜きで続々と育て上げている。
万が一、浅村・炭谷が「流出」してしまったとしても(もちろん簡単に埋まる穴ではないが)、浅村の守ってきた二塁のポジションは外崎修汰、呉念庭、水口大地、金子一輝らが争い、炭谷の務める第二捕手の座は岡田雅利、中田祥多らが埋めることになるだろう。さらに投手では今井達也、伊藤翔、斉藤大将、中塚駿太、野手では戸川大輔、山田遙楓、愛斗、鈴木将平といった素質の高い若手選手たちがブレイクの気配を漂わせている。
ドラフトで比較的知名度の低い大学地方リーグの逸材を多数指名し、その中から秋山翔吾、多和田、山川、外崎らを主力選手に育て上げているのも、西武のドラフト戦略における特長だ。
今年のドラフトでは、高校生・野手の3人、根尾昂(大阪桐蔭高→中日1位)、藤原恭大(大阪桐蔭高→ロッテ1位)、小園海斗(報徳学園高→広島1位)に入札が集中する中、西武は弱点とする投手力強化のために大学球界屈指の本格派右腕・松本航(日本体育大)を単独指名し交渉権を獲得した。
主力選手の流出が続きながらも低迷することのない西武、日本ハムといった球団には、資金力はないが生きのいい若手選手が次々に飛び出してくる魅力がある。