石井琢朗氏が広島カープのコーチに就任したのが2013年、丁寧な説明でイズムを浸透させた(写真:片桐圭)

 広島カープの試合を見ると「強い」と言葉が漏れてしまう。最近、野球に興味を持った人たちは、広島が数年前まで「お荷物球団」と揶揄されたことを想像すらできないだろう。

 広島は猛練習に代表される広島イムズを代々受け継いでいる。それを可能にするのが「純血主義」。ただ、それだけで勝てるわけではない。「外様」の力を利用し「純血主義」のベースに乗せたことこそが、圧倒的な強さの秘密なのである。

圧倒的な「生え抜き」集団

「純血主義」

 広島ほどそれを地で行くチームはない。

 今季の組閣は、1軍から、けが人のケア・若手の強化にあたる3軍まで生え抜きばかりが揃う。広島から入団をしていないのは、迎祐一郎1軍打撃コーチ、山田和利2軍内野守備・走塁コーチ、青木勇人3軍コーチの3人のみ。その3人も現役時代に広島でプレーをしている。

 セ・リーグのチームで比較するとその「純血主義」ぶりが際立つ。

・広島
 監督・コーチ計20人(※)。そのうち広島から入団したのが17人。在籍経験があるのが20人全員。
・ヤクルト
 監督・コーチ計19人。そのうちヤクルトから入団したのが11人。在籍経験があるのが15人。
・ジャイアンツ
 監督・コーチ計24人。そのうちジャイアンツから入団したのが13人。在籍経験があるのが21人。
・DeNA
 監督・コーチ計18人。そのうちDeNAから入団したのが9人。在籍経験があるのが15人。
・中日
 監督・コーチ計20人。そのうち中日から入団したのが10人。在籍経験があるのが15人。
・阪神
 監督・コーチ計20人。そのうち阪神から入団したのが7人。在籍経験があるのが17人。

 2018シーズン、広島はセ・リーグの中で唯一在籍経験がない――外様指導者のいない「ほぼ生え抜き」で作られたチームなのである。
(※注:2018シーズン。NPBでプレー経験のないコーチ・トレーナーを除く。ラミレス監督は入団をヤクルトからとした)