業績向上を目的とした組織改革や人材開発、リーダー開発の加速に向けてエグゼクティブ・コーチングを提供するコーチ・エィの「Coach's VIEW」から選りすぐりの記事をお届けします。
瞬間的な発信だけでは意味がない。

(文:コーチ・エィ 森田克司)

 クライアントのA氏が社長に就任した時のことです。

 就任後の最初のセッションで、社長としての抱負を聞きました。

「会社は人材がすべて!」
「人材育成を最重要テーマに掲げて経営を進めていきたい!」

 力強い口調と覚悟に満ちた目を見て、

「ああ、彼は本気だな」

 私はそう思いました。

 実際、A社長は矢継ぎ早に手を打ちました。

 就任挨拶での育成方針の発表を皮切りに、人事部に包括的な育成の仕組みの構築を指示し、自己研鑽にむけた教育予算の付与、次世代幹部リーダーの選抜制度のスタートなどなど。

 社長就任から半年が経過したとき、A社長は最初の大々的な組織調査を実施しました。

 半年間の取り組みの成果と新たな課題を知るためです。

 しかし、レポートを見た社長の表情はみるみる曇っていきました。

「こんなはずはない」