(文:コーチ・エィ 内村創)
「メンバーには、もっと新しいことに挑戦してもらいたいのだが、なかなか行動が起きない」
そう言って、重たい表情をのぞかせるエグゼクティブの方がいらっしゃいました。
私はそのお話を聞きながら、数年前に自分が体験したことを思い出していました。
「これから僕と一緒に仕事しよう」と決断を迫られた
「僕なら、これからいくつもの挫折を、君に提供することができるよ」
イタリアから来日した役員が、私にそう言いました。前職での話です。
入社して10年。ひとつのプロジェクトで働き続けてきた私が、新しい役割に就くための面談が組まれていました。
「この10年、君は順調に階段を登って成長してきた。次の10年は、沢山の失敗を経験するとよいと思う」
「自分では到底登れないと思う壁にいくつもぶつかり、登り方を見つける、今は不可能だと思える事も、可能だと思える自信をつける、そんな10年にするといいと思う」
その役員は、私のこれまでの経歴を聞いた上でそう述べ、「これから僕と一緒に仕事をしないか?」と、私に決断を迫りました。
新しい役割は、これまでにない大きな成長をもたらすだろうと、思い始めていました。
ただそれと同時に、「本当に大丈夫だろうか?」という不安がよぎり、一旦回答を保留にしようとする自分もそこにいました。