2012年に会津風雅堂で世界初演した新作オペラ「白虎」が2018年7月28日と29日、6年ぶりの再演を成功させた。
6年の間に「白虎」は、人々の心の中で着実に育っていた。
私は2006年、「エンジン01文化戦略会議のオープンカレッジ」で初めて会津を訪れ、「文化振興に力を合わせたい」と願う若い人々と知り合った。
最初は地元出身の指揮者で、かねて親しかった佐藤正浩さんの支援態勢を整え、起業家の宮澤洋一さんを旗振り役に担ぎ出した。
しばらくオペラの入門編コンサートを続けるうち「本格的なオペラをつくりたい」「会津なら白虎隊が題材だろう」と話が膨らんだ。
音楽ジャーナリストの立場で全国の日本語創作オペラを取材して痛感したのは、
(1)行政に頼りすぎると合議制の制作実行委員会が知名度、年齢重視でオペラの経験に乏しい大家に委嘱しがち
(2)地元のごく一部しか知らない民話や伝説の説明に終始して普遍性を欠く
などの事情で(はっきり言って)面白くない作品ばかりという惨状だった。