今の大学のあり方で、日本は知識産業で生き残っていけるのか?(写真はイメージ)

 文部科学省は国立大学法人の業績主義を強化し、2019年度から新規採用する教員に年俸制を導入する方針を決めた。この秋にも人事制度についてのガイドラインを発表するが、これに対しては大学教師から「競争原理は学問にふさわしくない」という反発が強い。

 その気持ちはわかる。ここ20年、文科省のやってきた大学改革は「大学院重点化」で学歴のインフレを招き、それが失敗すると定員を減らして予算を絞ったため、研究者の「非正規化」が進み、大量の「高学歴フリーター」が発生した。大学は文科省のくるくる変わる大学行政に振り回されてきたが、根本的な問題は大学にある。

日本の大学の生産性は主要国で最低

 日本の大学の生産性が低いのは、今に始まったことではない。客観的な指標として引用数の上位10%のシェアでみると、次の図のように日本はほとんどの分野で主要国の最低である(科学技術振興機構調べ)。


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 これは日本の研究者が少ないからではない。日本の研究者は84.2万人で、ドイツ(36.1万人)やフランス(26.5万人)やイギリス(25.9万人)よりはるかに多い。特に生産性の低いのが文系だが、理系も主要国で最低だ。

「国立大学の法人化などの新自由主義で雇用が不安定になったから生産性が落ちた」という反発があるが、日本より雇用の不安定なアメリカはどうだろうか。ハーバード大学の学部スタッフ約2000人のうち、テニュア(終身雇用資格)をもつスタッフは45%である。