製薬企業から多額のお金が様々な形で医師へ流れている。その実態を今まで4回に分けて紹介してきた。今回の記事においては、日本製薬工業協会の定める枠組みでB項目と呼ばれる「学術研究助成費」を取り上げる。
C項目「原稿執筆料等」が医療者個人への支払いだったのに対して学術研究助成費は学会やその他の団体に対する支払いとなる。
原稿執筆料より多い学術研究助成費
その内訳は、(1)奨学寄付金、(2)一般寄付金、(3)学会等寄付金、(4)学会等共催費である。
まず、学術研究助成費の総額を示す。実は、その額は原稿執筆料のそれよりも多い。
2016年度の原稿執筆料が277億円であったのに対して、学術研究助成費は376億円だった。このうち、221億円を計上し、全体の58.9%を占めるのが奨学寄付金である。
奨学寄付金は、「大学をはじめとする研究機関に対する教育・研究等の奨学を目的として提供する寄付金」と定義される。
図1に国内医薬品売り上げと奨学寄付金の関係を、図2に、国内医薬品売り上げ1億円あたりの奨学寄付金を示す。