パーベルはその後ロシアを離れセントネービスの国籍を取得、ベルリン、ロンドン、ドバイなどを転々としながらTelegramのサービス提供を続けている。
他方、ロシア政府は従来インターネットに対して中国などと比較してとりわけ厳しい監視体制を引いていたわけではない。
しかし、2014年ウクライナ紛争の後、欧米諸国との緊張関係が高まるなか、インターネットへの監視体制強化が顕著になっている。
ロシア最大のTelegramに対して利用禁止命令
そのロシア側の主役となっているのが「ロシア連邦通信・情報技術・マスコミ監督庁」(ロスコムナゾール)である。
日本でも昨年秋にロシアでLINEが使用禁止となったことが話題となった。
ロシアではLINEユーザーは限定的であり、国内ではさほど問題にはならなかった。筆者もLINEユーザーではないので特に不便も感じなかったのであるが、在留邦人や日本からの出張者にはいくばくかの影響があったやに聞く。
しかし、今回はロシアで最も利用者の多いメッセンジャーTelegramに対するロスコムナゾールの利用禁止命令である。
ことの発端は、Telegram上での通信傍受を可能にするため、ロスコムナゾールが暗号化鍵の開示をTelegramに求めたことにある。
前述の通り、Telegramはセキュリティ機能の高さが売り物であり、当局は独自に解読ができなかったと思われる。
プロコンの話に出てきたCODE FORCESは実はTelegramがスポンサーしている。ロシアの多くの天才プログラマーはTelegramの味方であるから無理もない。