森友学園問題では安倍晋三首相の昭恵夫人の名前が頻繁に出でている。事業をやりたい野心家が権力者やその関係者に近寄り、利用するのはいつの時代にも存在する。
首相夫人たるものはそうした人々の企みに惑わされないことが大切である。しかし、夫人は警戒どころか、事業が良い方向へ進むならばとの思いの言動さえ見られ、そこにつけ込まれたのが真相ではなかろうか。
第1次安倍内閣は、首相の体調不良もあり1年しか続かなかった。夫人が夫の体調回復に積極的に取り組んだことは知られている。
同時に夫とは別人格として、普段から積極的に行動していることも報道などで確認できる通りである。
『「私」を生きる』などの著書やいろいろな人との対談などが月刊誌にも掲載されている。神田(東京都)には居酒屋UZUまで開店しており、他の首相夫人のイメージとは全くキャラクターが異なっている。
インターネットで見ると、「UZUの想い」として「心もからだも喜ぶ食材を、安心してお召し上がりください」のキャッチコピーで「下関市の『昭恵農場』で育てた無農薬のお米『昭恵米』を多くの方にお召し上がりいただきたいという思いからオープンしました。(中略)食材の基本は『無農薬、低農薬、無添加、露地もの』。(後略)owner 安倍昭恵」と書かれている。
しかし、外国流に言えばファースト・レディであり、権力者の最近距離にある。夫人の意識に関わりなく、利用しようと画策する人物には権力と直に繋がっていると見えるであろうし、利用価値抜群となるに違いない。
このことが今次問題の本質であり、夫人には自分の身をしっかり律してもらう以外にない。
公人の妻の仕事とは
産経新聞(平成29年5月4日付)の「正論」欄で「指導者の夫を支えた『妻の仕事』」と題し、米国の大統領2人と徳川幕府の奉行1人を取り上げた一文を、東京大学名誉教授の平川祐弘氏が書いている。
アイゼンハワー大統領のメイミー夫人がホワイトハウスでの夕食の時間に遅れたときのことである。
アイク(大統領の愛称)が低い声で「自分のしたことが分かっているのかい。君は合衆国の大統領を待たせたんだぜ」とつぶやくと、夫人は「あら、私は自分の夫のためにおめかしに念を入れてたのよ」と返答する。
そして集まっている皆さんに対しては、「私のキャリアはただ一つ、その名はアイクよ。国を動かすのはアイクで、妻の仕事は夫が心おきなく本分を尽くせるよう、雑事から解放してあげることなの」と言ったそうである。