中国全人代が開幕、習氏の権力基盤強化へ

全国人民代表大会の開会式に臨む中国の習近平国家主席(2018年3月5日撮影)。(c)AFP PHOTO / WANG ZHAO〔AFPBB News

 3月5日開幕の全国人民代表大会(全人代)で審議・採択される中国の憲法修正案は、今後の中国の政治体制を大きく変えることになるだろう。

 端的に言えば、国家主席・副主席の任期制限がこれまで「1期5年、2期まで」であったのを、「2期まで」を削除し、再選の制限をなくしてしまったことが何を意味するか、ということである。

人事規律がメチャクチャに?

 中国の国家主席は、そのポストに付随する機関がなく、大きな権限もないという意味で実権が伴わないことから、中国語では「虚職」と表現される。国家副主席についても同様だ。しかし、国家主席は「中国共産党中央委員会総書記」「党中央軍事委員会主席」を兼務することによって国家元首の権威付けがなされ、中国ではそれを「三位一体」の権力とみなしている。党・軍を掌握する権力者が就任することによって、はじめて国家主席の権威が生まれるという考えである。

 国家主席の任期制限を撤廃した背景を、中国当局はこう説明する。党総書記、中央軍事委主席には、明文化された任期の制限はない。よって、国家主席の任期制限も前記2職位に合わせて撤廃したのであり、これによってむしろ平仄が合うことになる、という。

 たしかに、党総書記、中央軍事委員会主席には明文化された任期の制限はない。中国共産党規約にもそうした記述はない。しかし、もともと党総書記や中央軍事委員会主席の任期は無制限と考えられていたのだろうか。この点に関し、現代中国政治分析の大ベテランである矢吹晋・横浜市立大学名誉教授が興味深い論点を挙げている。