医療法人三つ葉代表、舩木良真医師による訪問診療の現場(写真提供:三つ葉)

 筆者は、唯一の身寄りだった母親(パーキンソン病で要介護5)を10年半にわたって一人で在宅介護をした。その間、折悪しく深夜とか休日に母親の容態が悪化することも多かった。当然、主治医とは連絡も取れず、そうかと言って、母親の医療情報をもっていない病院に救急車で運ぶわけにもいかず、非常に困惑した。そして、そのたびに、「ああ、東京ではなく、名古屋に住んでいたら・・・」と嘆息したものだ。

 なぜなら、名古屋市(昭和区御器所通)には、「24時間365日在宅診療」を提供してくれる「三つ葉在宅クリニック」(医療法人三つ葉)が存在するから。

 高齢化率が27.4%(2017年総務省発表)に達し「超高齢社会」が進展する中、国の方針により要介護者の在宅率は上昇する一方である。そうであればこそ、不測の事態にいつでも対応できる柔軟な医療サービスが本来必要なはずだ。そして、それを提供してくれる稀有な存在として全国的な注目を集めているのが、「三つ葉在宅クリニック」(愛知県名古屋市)なのである。

医師が経営学を学ぶ時代

 創設者は舩木良真医師(39)。名古屋大学医学部出身であるが、経営大学院を卒業したMBA(経営管理学修士)取得者でもある。

「研修医時代に週末を利用して通学し、当初は組織行動学やヒューマンリソースマネジメント(HRM)などの修得を目指していたのですが、だんだん面白くなり、時間はかかりましたが、結局、全単位を取得しました」と笑う。