田中氏が手掛けたキオスク。コンファレンス参加者の脳を活性化させるための仕組みだ

 バブル経済崩壊以後の「失われた25年」において、一部の勝ち組企業と大多数の負け組企業に両極分化し、全体として見ればグローバル市場におけるプレゼンスを低下させ続けている日本企業。その要因については、これまで多くの識者が論じてきた。

 しかし、意外なまでに触れられていないポイントがある。それは、日本企業の「会議・研修」のあり方だ。

 日本コンファレンスセンター協会・会長の田中慎吾氏(69)は、「会議・研修における“成果”へのコミットが経営の成否を握る」と唱える。今回は、1980年代から一貫して、日本の産業界の会議・研修の変革に取り組んできた田中氏に、お話を伺った。

非生産的な日本企業の「コンファレンス」

日本コンファレンスセンター協会・会長の田中慎吾氏

 田中氏は、日本におけるコンファレンスビジネスの第一人者である。これまで「ソフィテル」(アコーホテルズ)、「プリンスホテル・グループ」などと契約し、それらのホテル群を舞台に、グローバル企業を中心にコンファレンス(会議・研修)の企画・運営を請け負ってきた。クライアント企業はその多くがリピーターになるなど、高い評価を得ている。

「通常、300人以下の会議や研修をコンファレンス(Conference)と呼びます。いわゆるコンベンション(Convention)は、それ以上の規模のものを指し、『モノ』を対象にしているという点で、『人』を対象にするコンファレンスとは異なります」